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本当に俺の身体が歪んでいる。
けれども、痛みはまったくない。
ぐにゃり、ぐにゃり、ぐにゃり。
「ああ、そうか!」
俺は合点した。
身体を極度に歪ましているのは……そう、俺を鏡に入りやすくするためなんだ!
激しい雷鳴と共に、鏡が輝き出した。
落雷が近くへ落ちた轟音がする。
俺は鏡面が仄暗い洞窟を映しているのを見て、いよいよだなと思った。
キュー――ン。という、過度な吸引音と共に俺は鏡の中へと勢いよく吸い込まれていった。
…………
「うん?? 痛ってーーー!!」
俺は気がつくと頭を抑えた。
頭部がズキズキと鈍い痛みを発している。
めげずに辺りを見回すと、そこは仄暗い洞窟の中だった。
さっき、鏡面に映っていたところだな。
轟々と風の音が奥から聞こえてきた。
気温は不思議と寒くはない。そして、熱くもなかった。
痛みを発した頭を撫でながら、俺は強い風が吹いている洞窟の奥へと歩くことにした。
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