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明るい舞台に木村彩というピアニストが出て来て、客席に向かってお辞儀をした。グランドピアノ前に座り、演奏が始まる。明るい曲調の音色がホールに響き、客たちは静かに演奏を聴き始める。
なかなかいい音色だ。
曲はリストの「愛の夢第3番」
曲名が頭の中に浮かんだ。それから彼女の事も。今、彼女に会えなくて物凄くガッカリしている。彼女は一体どこに消えてしまったんだろう? 彼女に会いたい。そう思った時、左隣の女性の横顔が視界に入る。
……彼女だ。
驚いて彼女の横顔を見ていると、彼女は僕の方を向いて微笑んだ。彼女は僕がここに来る事をわかっていたみたいだった。
一体どういう事なんだ?
もしかして彼女は僕を知っているのか?
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