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早速プレゼントボックスを開くと画面には『新規ダウンロード特典。呪いの牙、呪いの餌(特大)、マスコットキャラ狗神クンの壁紙を受け取りました』と、書かれていた。
呪いの牙、餌とやらは課金アイテム──ここでは贄と言うらしく。コレを使って呪うと呪いのレベルが高くなり、狗神クンが呪いを成就させやすくなると言うものだった。
贄を使えば使うほど狗神クンの力もパワーアップするらしい。
「で、これは結局は犬の育成ゲームで結局課金ゲー?」
画面をスクロールしていくと『贄』のアイテム一覧があり。
呪いの牙ニ万円。
呪い餌(特大)一万円。
呪いの餌大、中、小は七千円、五千円、三千円と強気な値段設定だった。
「ぼったくりじゃん。バカみたい」
所詮こんなの憂さ晴らししたい人のお遊びで、お金を集金したい中華ゲー会社のアプリだろう。
アプリをダウンロードする前は本気で杏里なんか死ねばいいとか思っていたのに、今はなんか白けてきた。
贄をくれと、ワンワンと画面下で吠えている狗神クンがお粗末に見えたせいかも知れない。
もうアプリすら消してしまおうと思ったけれども……折角なら。消す前にプレゼントボックスに入っていた贄を使ってみようと思った。
狗神クンをタップして呪うを選択する。
そして贄を使うか選択肢が出てきて、試しに餌を選んだ。
規約画面に同意して──完了ボタンをタップ。
狗神クンが『呪って来るワン!』と吠えて画面から走り去る演出が挟まれ、それで呪いとやらはあっさりと終わった。
「こんなwebサイトで呪いなんか出来る訳ないじゃん」
正しい呪い方なんて知らないけれども。
でも、先ほどの画面規約の案内にはそれっぽく。『当社お抱えの術師が責任を持って呪いを掛けます。人を呪わば穴二つ。お客様も覚悟を──』とか長々と書いてあったけれどもそんなのいちいち全部に目を通してない。
「はぁ、沢山不満をぶつけれたからもうそれでいいや」
外部に思いっきり言いたいことを、胸のうちを曝け出したのは割とスッキリした。誰もが閲覧出来る掲示版にありのまま書くと、誹謗中傷だと炎上するだろうし。
このアプリだったら誰かの目に触れることはない安心感もあったし、アプリの会社の人が杏里とか言う女が狡猾でいやな女だと思ってくれたらそれでいい。
私の呪いはここまでだと思った。
明日は学校が休みだし、気分転換しよう。
あと半年もしないうちにクラス替えもある。先輩は卒業だ。
そんな風に自分に言い聞かせて、呪いのアプリ消去して眠りについたのだった。
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