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翌日、登校して教室に入るとヒソヒソと何やら各グループ噂をしているようだった。
なにかと思い、どうしたのといつも一緒にいる友達に聞くと。
──鮎川さんが、交通事故にあったんだって。
しかも。あの付き合って間もない先輩も事故現場に一緒に居たらしいって。
と、小声で教えてくれた。
ドクンと心臓が脈打つ。
(え……まさか。呪い? 本当に?)
半信半疑だった。
杏里には正直ザマァ見ろと言う薄暗い気持ちと、先輩には杏里なんか選んだからそう言う目にあったんだと。自業自得じゃないかと一気に恋愛感情が波のように引いていった。
それよりも感心は本当に事故か。
『呪い』じゃなくて『偶然』なのか。
そのことで頭がいっぱいになったが、なんとか「それは大変だね。心配だね」と、他人事のような軽い言葉はなんとか吐き出せた。
しかし、背中に伝う気持ちの悪い汗がぞくりと、私の肝を冷やす。
昨日、消したあのアプリの存在が気になってしまった。
そもそも、呪いを掛けれるんだったらなんでも良かった。もっとそれっぽいサダコや藁人形のアイコンのものもあったがそのが中でドットの犬のアイコンが目を引いただけ。
狗神とか言う由来も知らない。
ぱっとアプリ紹介の説明を読んだけれども。犬の怨念が化け物になってあなたの呪いを叶えちゃいます! みたいなことが書いてあったことしか覚えていない。
一応、念の為。もう一度インストールして確認した方がいいのか。はたまた偶然か。
迷っていると先生が来て朝礼が始まった。
そして先生が教台に立ち。点呼を取る前に咳払いをした。
「もう、知ってるかも知れないが鮎川さんが交通事故にあった。命には別状はない。しかし、ちょっと手術が必要らしく学校はしばらく休むことになった。皆も今一度、交通事故に気をつけるように。危ないところには行かない。早く帰るように」
そんな先生の注意があり、クラスの男子が「事故なんて、こっちが気をつけてつけても車が突っ込んできたら終わりだと思いまーす」と突っ込みを入れていた。
先生も「分かっているけれども、気をつけてとしか言いようがないだろ。頼むから皆、無事に卒業してくれよ」と、大きなため息を吐いた。
それだけで色々と先生の気苦労も伺えた。でも。それよりもスマホが気になって仕方ない。
今、こっそり見たい。
でも──本当に狗神クンが呪いを叶えてしまったのではという気持ちがべったりと重く張り付き。指先を直ぐに動かす事が出来なかった。
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