あたしの恋心

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 昨夜の雨はなんだったんだろう?  見上げた朝の青空があまりに綺麗で、私は拍子抜けした。  ……アキ兄はホント、晴れ男だよなぁ。  昨日は天気予報を何度も確認し、しつこく窓の外を眺めてたアキ兄。 「落ち着け!」って言いたくなるくらいソワソワしてた姿を思い出して、微かに口角が上がる。  雨上がりの湿り気を帯びた匂いが新鮮で深呼吸を繰り返す。私は隣家の窓に視線を移した。閉ざされたレースのカーテン越しに人の気配はない。  まあ、とっくに出掛けてるよね。  顎を引いて窓を閉めた私は、鏡の前に立って全身をチェックした。淡い桜色のワンピース姿の自分は嬉しそうに頬をゆるめてる。 「かっこワルイ……」  恥ずかしくなって鏡に背を向け、薄手の黒いカーディガンを手に取り慎重に袖を通す。今度は顔を引き締めて鏡を見た。  まあまあ、かな。  ジュエリーボックスからネックレスを取り出し、首元に添える。見劣りしないことを確認してネックレスを身につけてみた。蓋を閉めようとして――ふと、目が奪われる。  隅に置かれた、一枚の桜貝。  見ると辛くなるから意図的にそこへ置いたそれは……けれど、ボックスを開く度に目についてしまう。
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