4人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
結婚なんてする気ないね。何のメリットもないんだから。
だって結婚しなきゃ、ママは今よりずーっと楽で幸せな人生送れたはずだもん。浮気して、他所に子ども作って逃げるような男となんか結婚さえしなければ。
結婚は契約だなんて、学生のあたしでさえ知ってるわ。夫婦には、互いに対して義務が生じる、って。
──その程度のことさえ知らない、知ってても無視するような奴がこの世にはゴロゴロいる。小娘にこんな事言われて恥ずかしくないのかね? いや、そういう連中に限って逆ギレしそうだよな。
「ママ、結婚してよかったことある? ないでしょ?」
唐突なあたしの問いに、ママは一瞬戸惑ったみたい。
「……あるわよ」
「別に気ぃ遣わなくていいから。あたしももう二十歳なんだしさ。オトナだよ、一応。扶養されてるけどとっくに成人してんだから」
あたしの言葉に、ママはどこか呆れた顔してる。
「なんで今更そんな気を遣うってのよ。私はなければ『なかった』って言うわ。『人生無駄にした』ってね」
……まあ、確かにママはそういう人だ。それはあたしもよく知ってる。だからこそ離婚もズルズル引き伸ばさずにすっぱり決行したんだろうし。
「娘に言うのもなんだけど、本当にあいつはつまんないダメ男だった」
「ママ──」
正面から言い切られてさすがのあたしも怯む。
最初のコメントを投稿しよう!