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「ずっと、俺のそばに居てくれませんか――?」
静かな波の音と共に優しい彼の声音が、私の鼓膜を震わせた。
彼の表情は今まで見てきた中で一番、真剣で私のことを本気で想っていることが伝わってきた。本当に私のことを愛してくれてる、そして大切に想ってくれてる。だからこそ、すぐに「はい」と言えなかった。
「ねえ…藍…? 私、ほんとはしっかりしてないし、頼りになんてならないよ…。とてもじゃないけどあなたを幸せに出来る自信がないわ…」
「そんなことない。彩羽が思ってる以上、彩羽は俺のことを幸せにしてくれる」
「藍…」
頬に流れた涙を拭いながら彼はこう告げた。
「そのまま彩羽が好きだから」
そんな彼の思いやりのある優しい言葉に決心し、私は大きく頷いた。
「こんな、私で良ければ――」
それを聞いた彼は、私の首にネックレスをかけてくれた。バラのように強く、美しい色が胸元で輝く。その宝石は1月生まれの私の誕生石だった。
「綺麗…ほんとうに」
「気に入ってくれた?」
「うん、もちろん」
「なら良かった。それ、彩羽のお守りね? きっと、どんな時でも助けてくれる」
「ありがとう、藍」
紅色のガーネットの眩い光が、夜空へと放たれた。まるでお互いの気持ちももう一度、確かめ合えた喜びを表したかのように。天高く、永遠に夜空へと上っていった。
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