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「いらっしゃい。久しぶりだね、千夜くん。一緒にいる女の子は彼女?」
中に香澄と2人で入って直ぐに、顔見知りの店員…中野(なかの)さんに声をかけられる。
「ああ、そんなところだ。中野さん、女が好みそうなメット、あるか?」
「千夜くん…」
中野さんの『彼女』と言う言葉に反応した香澄が嬉しそうに恥じらった。
香澄…あー、やっぱ、可愛いや。
「ヘルメットだね?コッチだよ」
中野さんは、俺等2人をメットの並ぶ売り場へと連れて行く。
そこには色々な色のメットがあった。
その時、他の客も店内に入ってくる。
「いらっしゃいませ!…被り心地はどれも同じだから、色とデザインで選んでも問題ないよ」
中野さんはそれだけ言い残すと、他の客の方へ行っちまった。
まあ…香澄と2人きり、悪くはない状況だ。
「ヘルメットってひと言で言っても、沢山あるのね」
香澄は物珍しそうにメットを見回している。
俺は被り心地が同じだと言った中野さんの言葉に急かすことなく、香澄の好きな様にさせていた。
やがて、香澄が俺の手を離し、1つのメットを手に取る。
「これなんか可愛い色していて好きだわ」
香澄が両手で取ったメット…それは、淡いピンク色したメットだった。
確かに香澄に似合いそうだ。
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