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香澄が見せたのは、ピンクのハートマークが散りばめられた用紙だった。
確かに何を贈っても、あの2人には似合いそうにねー。
「山村には、ラッピング無しで…いや、いっそのことプレゼント自体無くて良いんじゃねーか?」
「山村先輩にだけプレゼント贈らないなんて、気の毒よ。でも、何にしようかしら…」
再びラッピング用紙を眺め出した香澄に、俺は言う。
「じゃあ、俺が買ったラッピング用紙をシェアしようぜ。コレ、結構分厚く巻いてあるから、俺のプレゼントだけじゃ余っちまう」
すると、香澄は財布を取り出した。
「じゃあ、半額ずつ出すわ。幾らだった?」
「いいって。今日、2人きりで買い物出来るだけで釣りがくるぜ」
俺が香澄の瞳を見つめてそう言うと、香澄は顔を紅らめた。
その表情を見てると、2人ずつに別れてプレゼントを買うっていう鈴木の案も悪くなかったな、と思えてくる。
「ありがとう…千夜くん」
香澄は恥じらいながら礼を言った。
ラッピング用紙位何て事はねーのに…だが、可愛いから、ま、いっか!
「決まりだな。シェアは、古屋敷まで送って行くから、その時で良いな?」
「ええ!千夜くんが送ってくれると心強いわ」
そうこう話しながら、俺等はラッピング用紙売り場を後にした。
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