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次に、鈴木と一応、山村へのプレゼントをそれぞれ買う。
何を買ったかって?
それはイヴまでのお楽しみだ。
山村はわかんねーが、鈴木も俺等に何を買ったか言わないだろう。
デパートを出ると、まだ5時前だってーのに、辺りは暗くなり始めている。
「随分、陽が短くなってきたわね」
香澄も同じ事を思った様だ。
通りを渡って、暖房の効いた喫茶店に入ると、もう既に来ていたのか山村がデケー声で「保ー!香澄ちゃーん!コッチ、コッチ!」と呼ぶ。
何人かの客がコッチに注目する。
俺は喫茶店を出ようかとも思ったが、そうすると余計に山村が騒ぎそうなので、香澄の冷たくなった手を引いて、鈴木と山村の元へ行った。
「山村、絞められてーか?」
「嫌だよう。何で、何でぇ?」
「山村先輩は、お2人を呼んだだけです。それで絞めるのは、おかしいと思いますが?」
おかしいのは山村の頭の中だと思ったが、香澄と何より山村の保護者の鈴木の手前、黙っておくことにする。
沈黙は…確か金だと、授業で習った。
山村の奴は、いずれ絞めるとして、今はコートを脱ぎ、鈴木の正面の椅子側の席に座る。
その隣の椅子の席に香澄もコートを脱いで座った。
山村に抱きつかれた鈴木が言う。
「ホットコーヒー、4つで良いですか?」
「あったけーなら、この際、何でも良い」
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