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だが、香澄は玄関先まで着いてきた。
「気を付けて帰ってね!」
「ああ。又、明日な」
荷物を持って、香澄に見送ってもらった後、古屋敷の門の前まで出る。
今年は暖冬だというが、夜は流石に寒い。
昼間との寒暖差が今年は特にデケー気がする。
千夜組の屋敷と香澄が独り暮らししてる古屋敷は歩いても通える距離なだけあって、車のライトに俺は直ぐに照らされた。
車は俺の直ぐ隣まで来て停まる。
暗い中でも田中のスキンヘッドは目が暗闇に慣れてくると直ぐに解った。
田中が車の窓を開ける。
「坊ちゃん、寒い中、待たせて済みやせん。鍵は開いてありやす。お荷物は後部座席に乗せて下せえ」
「サンキュー、田中。ゔー、さみー」
風が吹くと尚更、寒い。
俺は手早く荷物を後部座席に置いちまうと、急いで助手席のドアを開けた。
俺がシートベルトを締めたところで車は発進する。
帰りの車中で。
「坊ちゃん、お買い物ですかい?」
「ああ。田中、今年のイヴは香澄達を呼んでパーティーするぞ」
俺は当日の予定の詳細を田中に話して聞かせた。
「そういう事でしたら、喜んで。あっし達組員は早めに各自、夕飯を摂りやす」
「ああ、頼むぜ。田中」
そう会話する中、車は暗闇をライトで照らし、千夜組の屋敷へと帰って行った。
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