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一方、その頃。
僕…山村凌は保の手作りケーキを食べに出掛ける支度を終えた。
「ママー!友達の家に行ってくるー!今日は夕ご飯は要らないよう」
「凌、先方に失礼が無い様にね?」
ママの見送りに「はーい!」と返事をすると、僕は家を後にした。
鈴木くんと香澄ちゃんとはコンビニのイートインで待ち合わせしている。
僕が走ってコンビニに行くと、2人共、既にイートインで待っていた。
「鈴木くーん!香澄ちゃーん!」
僕は2人の直ぐ近くへ行った。
見ると2人共、ラッピングされた包みを置いている。
いっけない!
保のケーキが食べれる事ばかり考えていて、プレゼントを家に置いて来ちゃった。
「鈴木くん、そのプレゼントの値段、半額出すから、僕達2人からってことにしても良いー?」
「プレゼントを忘れて来てしまったのですね。良いですよ。でもお金は要りません。山村先輩にはいつも仲良くさせていただいていますから」
「有り難う、鈴木くん」
鈴木くんは、いつも優しい。
「じゃあ、そろそろ行きましょ!」
「そうですね」「うん!」
香澄ちゃんの声を合図に僕達はコンビニを出た。
3人で夕暮れの黄昏時を足取りも軽く歩いて行った。
千夜組のお屋敷に着いた。
香澄ちゃんがインターホンを押す。
少しして、聞きたかった、でも田中さんより迫力ある声が聞こえてきた。
『何者だ?』
「私と鈴木くんと山村先輩だよ」
『わかったよ』
保の声と共にお屋敷の扉が開いていく。
僕達3人は息を呑んだ。
田中さんと同じ格好をした男性達がズラリと玄関までの道を左右に並び、促すように並んでいる。
1番近くに田中さんらしき人がいた。
「香澄お嬢さんと、鈴木の坊ちゃん、山村の坊ちゃん。中で、坊ちゃんがお待ちです。ご案内しやす」
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