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田中は「かしこまりました」と言うと、香澄等が座れる様に椅子を引く。
鈴木、香澄、山村の順で椅子に座る。
山村だけプレゼントを手にしてなかったが、ケーキを切るのに集中している俺は気付かなかった。
鈴木が俺と田中に言った。
「本日はお招き頂きありがとうございます」
ケーキ入刀してることに集中している俺の分まで田中が応えた。
「いいえ、あっしは坊ちゃんと仲良くして下さるご学友の皆さんに感謝してますぜ」
田中が言い終わったところで、俺もケーキを切り終えた。
ひと息つくと、カットされたケーキを、香澄と鈴木、それから山村の直ぐ近くに置いた。
「田中、酒井が作っていた、ローストチキンを持ってきてくれ」
酒井(さかい)とは、千夜組の料理人だ。
「かしこまりました」
田中がリビングを出て行く。
おそらくキッチンに向かったのだろう。
「千夜くん、田中さんの分のケーキは、良いの?」
「田中には、もう何度も食べさせたからな。それに田中に作ってやるとしたら、組員全員に作らないと不公平だろ」
いつもなら夕飯だけは千夜組1同、揃って食うが、今夜の夕飯は特別に俺等の貸切だ。
「ローストチキンです」
田中がリビングに戻って来て、テーブルの中央にローストチキンを置いた。
「山村、待て」
「僕、つまみ食いなんかしないよう」
「千夜くん!山村先輩は犬では有りません!」
相変わらず冗談の通じねー奴等だぜ。
「嘘に決まっているだろ。…ご苦労だったな、田中。下がって良いぞ」
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