クリスマスイヴ

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大切な奴の写真…それは香澄の写真に決まっている。 違う奴の写真なんざありえねーぜ。 田中が廊下から言った。 「坊ちゃん。アルバムをお持ちしましょうか?」 「いや、いい。昨日、部屋の配置を変えたから、自室で写真を見繕ってくるぜ。香澄、ケーキ食べ過ぎるなよ」 「どうして、私にだけ言うのよ!?」 俺は香澄の言葉には応えず、リビングを後にした。 もちろん、ロケットペンダントを持って行くのも忘れねー。 自室に入ると、俺は先ず棚からアルバムを取り出した。 それを窓際に配置変えした机の上に置いて椅子に座る。 アルバムを開くと、今は亡きお袋に抱っこされている俺の赤ん坊の時の写真が目に入った。 お袋…こうして見ると今の俺と大して歳が変わらなく見える。 お袋は俺が赤ん坊の時に玉名組に殺されたって聞いていた。 ページを巡っていると。 出てきた。 香澄の写真だ。 俺は写真が破けねー様に慎重にアルバムから剥がすと、ロケットペンダントを開いて、その上に写真を当ててみた。 やっぱ、ペンダントの形に合わせて写真を切り取るしかねーな。 俺は机の引き出しから、カッターとボードを取り出すと、写真を当てたまま、ペンダントをボードの上にひっくり返した。 そして、ペンダントの周りをなぞる様にカッターで写真を切り取る。 写真を見ると、丁度、可愛い香澄の笑顔がペンダントの中に入りそうだった。 俺は写真をそのままペンダントに入れて蓋をし、胸ポケットに入れた。 その時、遠くの方から、怒鳴り声が聞こえてきた。 何だ…? そう思った次の瞬間、ガラス窓が割れ、ガラスの破片が俺の右腕に突き刺さった。 「ぐっ…!」 窓から玉名組の色した服に身を包んだ男達が部屋に入って来た。
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