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千夜くんは集中治療室で手術を受けているらしい。
当然、面会謝絶だろう。
私は千夜組の車に、鈴木くんと山村先輩と共に、許可を得て乗らせてもらって、病院に着いた。
集中治療室の前まで行くと、田中さんが、先に椅子に座っていた。
「お嬢さん、坊ちゃんの胸ポケットに、これが」
田中さんが私に渡してくれたのは、銃弾が刺さったロケットペンダントだった。
中を試しに開けてみると、写真が見えた。
「これ…私…?」
銃弾が邪魔して直ぐには解らなかったが、アルバムから切り取ったのだろう。
私の写真だ。
「今夜が山場だと医者が。下手すると、植物人間になる可能性もあると…」
私達3人は息を呑んだ。
「ここだけの話、貴方達の話をする時の坊ちゃんは、いつも生き生きしてました…」
田中さんの言葉に、私はロケットペンダントを握り締めたまま、その場に崩れ落ちた。
「う…っ、うっ…!うわあああああああ!」
深夜の病院内であることも忘れて、私は号泣した。
鈴木くんもメガネが涙で曇っていた。
山村先輩も涙と鼻水で可愛い顔が台無しになっていた。
田中さんが、悔しそうに、椅子を殴った。
もう夜も遅いからという田中さんの計らいで、私達3人は千夜組員さんの車に再び乗せてもらい、それぞれの家まで送ってもらった。
車に乗っている間、私達の間に会話はなかった。
田中さんによると、誰かがパトカーを呼んだらしいから、しばらくは屋敷に近付かない様に忠告された。
古屋敷に着いて、布団に横になっても、脳が興奮して眠れなかった。
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