年が明けて

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3人で病院へ向かっていると、空から白いものが降ってきた。 「あ…雪だ!」 山村先輩が声を上げる。 「季節は、もうすっかり冬ですね」 千夜くんと初めて出逢ったのが、春だったから、もうすぐ1年近く経つことになる。 あの頃は、まさかこんなことになるとは思わなかったけど。 白い世界の中、病院に着いた私達は、タマナグミのレモン味を預かってもらおうと受け付けに行った。 「あの…集中治療室に居る千夜くん…千夜保さんに渡したい物があるんですけど…」 「少々お待ちください」 受け付けの女性は、そう言うと、内線で連絡した。 「集中治療室の千夜保さんにお届け物です。はい…はい。えっ?あ、はい。解りました。今、いらっしゃっているので、こちらから伝えます」 何だろう? 受け付けの女性の言葉に私達は思わず顔を見合わせて、緊張した面持ちで、何て言われるのか待った。 まさか、死んじゃったってことはないよね…? 「千夜保さんなら、意識は戻りませんが、状態が安定してきたので、今朝、204号室の個室に移動したそうです」 良かった…最悪の事態は免れたみたい。 「病室には入れる様になっています」 「わ、解りました。ありがとうございます!」 私達は安心して、受け付けの女性にそう言うと、204号室の場所を聞いた。 女性に教わった通りに歩いて行った私達。 早く千夜くんのもとに行きたい。 204号室は直ぐに見つかった。 ナースステーションの受け付けで、面会記録の小さな紙に、代表者の住所と氏名、それから電話番号と、同行者数を書き込んだ。 それを指定してある箱に紙を入れると、私達は204号室に入った。
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