story06 所業の代償

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story06 所業の代償

 彼女の忌明けの法要を終えた。  それを待っていたかのように、俺の元に、  アイツから、レセプションの招待状が届いた。  彼女の実家にも届いたようで、  おばさんが憤慨して、俺の家にやってきた。 「どの面下げてこんなものっ」  おばさんの怒りはもっともだ。  俺もはらわたが煮えくり返る思いだった。  だけど彼女の死を、アイツは多分、知らない。 「おばさん、俺、このレセプションに参加してきます。アイツの態度がどうか確かめます。もしも俺の思った通りなら、彼女の遺恨を晴らしてきます」  おばさんにそう伝え、  唯一、アイツの動向を伝えてくれていた友達と、  招待されたレセプションに参加した。  レセプションは、会社の顔合わせを兼ねていたが、  やはりメインは、アイツの婚約発表。  大々的に紹介され、満面の笑みを浮かべるアイツを、  どこか冷めた目で見る自分がいた。  やがて歓談が始まり、アイツが俺の側へとやってくる。  アイツは俺の耳元で、信じられないことを言ってきた。 「お前、あの女の事、好きだっただろ? 俺は婚約者ができたから、お古だけど、彼女はお前にやるよ」  その心無い言葉に血がのぼり、気づいたら俺は、  アイツを思いっきり殴り倒していた。  血相を変えて、婚約者が駆け寄ってくる。 「何をするんですか!」  そんな女に気にも留めず、俺はコイツに告げる。 「彼女は亡くなったよ」 「………えっ」 「お前の裏切りに耐えかねて」 「…っ」  ぐっと息をのんでいるのが分かった。 「彼女を殺したのは、お前だ」 「…そんな」 「お前がどう思おうと、その事実は変わらない」  殴り倒されたまま座り込んでいたアイツは、真っ青になっていた。  俺はお構いなく告げる。 「その女と幸せになれ。…なれるものならな」  そして、彼女がコイツに宛てて書いた、  彼女の言葉()が綴られた手紙を掲げる。 「彼女の、お前に宛てた最期の言葉だ」 「なな何て…」 「火、持ってる?」  俺は、何と書いてあるのか気になるコイツを無視し、  隣の友人からライターを借りて、その手紙に火をつけた。 「何するんだ!!」 「お前のような奴に、彼女の最期の言葉なんか教えない」  手紙は炎々と燃え、  そして、ふわりと舞い、全て灰になった。 「精々苦しめ。俺は今後二度と、お前に会わない」  そう一言吐き捨てて、俺は、友人と会場を後にした。
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