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序
犬上御田鍬――現代日本において、彼の名を記憶している者は少ないだろう。
その正体は、はるか昔、飛鳥時代を生きた一人の中級官吏。令和の今では日本史の教科書や資料集に、その名をひっそりと残すのみである。
さて、ただの一介の役人であったはずの彼の名がなぜ今にも伝わっているのか。その理由には、彼が成し遂げたある出来事が挙げられる。
その話を語るには、彼の生きていた舒明天皇の御代にまで遡らねばならない。
さて、始めようか――――。
驚くほど摩訶不思議で、
波乱に満ちた彼の異聞録を。
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