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真夜中の薔薇園
雲が途切れ、月の明かりがヘーゼン城を照らす。
フードを被った侍女がひとり、ゆっくりと城壁の門を抜けていった。
白い薔薇の小道を歩いていくと、大木の裏から男の声がした。
「こっちだ、ソフィ」
その声に、侍女の服を着たソフィオーネは顔を上げる。どちらからともなく腕を伸ばして、ふたりは抱き合う。
「お父様が、あなたとの婚姻を許してくれると言ったわ」
その言葉に、男は強く彼女を抱き締める。
「――ペルロ」
男の名を呼び、ソフィオーネは頬を染めて微笑んだ。
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