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黄色いクロスバイクをとばして植物園へと向かった。正確には植物園の正門の周りに並ぶ蕎麦屋のうちのひとつ。名水と蕎麦は三位一体。いや、一つ足りないな、なにかいい言葉があるはずなのに思い出せない。
そんなどうでもいい事を考えながら僕は足が攣りそうになるほどペダルを漕いだ。このあたりは坂が多いのだ。
植物園に向かってそぞろ歩く観光客たちを追い越していく。
坂を登りきったところに、植物園のレンガ造りの歴史を感じさせる正門があって、その並びに何軒かの蕎麦屋や喫茶店が軒を連ねている。
多江夫婦の店はその小さな商店街の一番奥にある。
今日も白の麻のれんが周囲の深い緑の中に輝いていた。
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