第七話   参加

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「!」 「逃げちゃだーめっ♡」  持ち手を弾くと駆け寄ってきている≪絞殺≫。その手には新たな武器が握られているのが見える。  業は背中に背負った長柄の獲物を持ち、素早く構える。 「はっ!」 「いやんっ♡」 「ふっ」 「んんっ」  手にしたのは、薙刀。  向かってくる相手に対して突き出したが、上へ弾かれた。体を捻り推進力を乗せ、業は横薙ぎもの一閃を向ける。けれど相手の柔らかい体が沈み込み躱された。止まることなく一歩引いた女は、ここにきて警戒の色を見せた。 「びっくりしてたから楽勝かと思ってたけど、もしかして何人か殺ってきた?♡」 「……いいや、初めてだ」 「やんっ♡ ハジメテなの!?♡ うふ♡ 嬉しい……♡ じゃあ、私はあなたにとって忘れられない存在になっちゃうね……♡」  頬に手を当て、首を傾ける。顔は紅潮し、目元は色っぽく艶めく。息は熱を帯び、興奮しているのか口の中の唾液が糸を引く。 ≪絞殺≫は鞭を自身の首に巻いて、見せつける。 「私は首を絞めるのが好き♡ 首を絞められている時、私に懇願するように見つめられるのが好きなの♡ 私にどうして欲しい? どうされたい? 何を見たい? 何をしたい? って聞いてあげるの♡ 何か喋ろうとしたらもっと絞めるの♡ きゅっ、って言うのよ♡ その瞬間がすっごくかわいいの♡ また私を見て、縋ってくれるの♡ 見てほしい♡ もっともっと、私を見て……♡」 「聞いてない」 「私をこうしてくれたプロデューサーには感謝してるの。でもね? 約束は守らないとダメよね? 私はもっと、もっともっと見られたい♡ なのに、逮捕されて、どこかに消えちゃった。許せなぁい。私の楽しみを奪ったのは誰だと思う? わかるわよね? 警察よ。プロデューサーを逮捕した警察。その子を殺したいの、私。プロデューサーを否定する人も許さない。頼まれても許さない。私を見続けて、見て、見て、見て、目に焼き付けたら殺してあげるの。私のステージを奪ったのだから、せめて私のためになってもらわないと……。否定する人がいなくなったら、プロデューサーを探してもう一回頑張るの♡ 私、アイドルになるんだっ♡ ねぇ、あなたは誰を殺したいの? 私が代わりに殺してあげるから、死んでくれない?」 「俺が殺す。誰にも譲らない」 「私もーっ♡」  きゃーっ♡  ……と照れ笑い。そして腕を振り抜いた。
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