1-1 出会い

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 この世には男女の性の他にもうひとつ第二の性と呼ばれるα、β、Ωという分類が存在する。  αはどの分野でも圧倒的なカリスマ性を放ち、誰をも魅了する頂点的存在。  正に、楓珠さんはαそのものだった。  そんなαが唯一敵わない存在といえるのがΩ。 身体的にも社会的立場としても弱く、虐げられる存在として世間一般から認識されているΩだが、実際は違う。  αはΩのフェロモンに強く惹き付けられる。  自分を守ってくれるより強いαを求め手に入れる為、そのフェロモンでαを誘惑し自分の虜にするΩの習性。虜となったαは誰からもそのΩを奪われないよう自分のモノとして縛り付け生涯を通して愛し、離さない。  それを番関係と呼ぶ。  Ωのうなじに刻まれる‪α‬の噛み跡。  その刻印を持つΩは、付けたαのフェロモン以外認識出来なくなるのだが、その逆もしかり。  逃れることのできないΩの発情期を不幸な事故にしない救いの関係。    けれど、この世界はそう都合のいいシステムだけでは終わらなかった。  一度結んだ番関係  それはどんな事があっても生涯絶対に解消することが不可能な、未来永劫永久的に続く関係。  そう、それは彼…楓珠さんも例外ではない。  彼は随分前に、番関係にあったΩの奥様を病気で亡くしていた。  誰もが求めるこの完璧なαは、亡き奥様のフェロモンしか感じない……つまり、今後一生どのΩのフェロモンにも惑わされない、という事。    そして僕は――どんなαのフェロモンも一切感じる事が出来ない欠陥Ω    そんなΩが安心してそばにいることが出来る‪楓珠さんの隣は常に平穏で満ち溢れていた。  
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