他の人より

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ガチャ。 昼になり、奏は部屋から出てきた。 1階に降りると、美琴がソファーで眠っていた。 奏「(そういえば、俺が最初に彼女に会ったときも寝てたな。寝るの好きなのかな)」 奏はキッチンに入った。 慣れた手つきでサンドイッチを作っていく。 次に、棚から砕いたコーヒー豆を取りだし、ドリッパーに入れお湯を注いでいく。 ゆっくり、じっくりとお湯を注いでいく。 コーヒーの香りが部屋中に広がっていく。 奏「……よし」 そのとき、タイミングよく美琴が目を覚ました。 奏「……ナイスタイミング」 美琴は眠い目を擦りながら奏を見た。 奏「あ~、あの……。良かったら食べない?」 奏はそう言って先程作ったサンドイッチとコーヒーを美琴に見せた。 美琴は少し考えたあと、ゆっくりと頷いた。 2人はゆったりとした時間を過ごしていた。 美琴はメモ帳に文字を書き始めた。 美『とても美味しいです。このコーヒー』 奏「ありがとう」 美『……あの、深堂さんはどうしてこんなにコーヒー作るのが旨いんですか?』 奏「あぁ。実は俺近くのカフェでバイトしてるんだ。そこのコーヒーが美味しくて、働いてるうちにコーヒー作りにハマっちゃったんだ」 奏はコーヒーを見つめながら微笑んでいた。 奏「将来は自分の店を出したないなぁと思ってるんだ」 美「……」 奏「えっと、どうかした?」 美琴はメモになにか書き始めた。 美『私、何でか分からないけど、深堂さんのこと、他の男の人より恐くないです』 奏「えっ?」 美『もちろん、恐いことは恐いんですけど……』 奏「……多分、俺も」 美「?」 奏「俺も雪永さんのこと、他の女の人よりかは恐くないかも」  美「!!」 奏はそう言ってぎこちなく笑った。 美琴もそれに答えるように微笑んだ。
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