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「……またそれ?僕は……」
「悪魔になりたいか?」
ヴァルクトは低音の美声で囁いた。
「俺だけのものになるか?」
その時、サフィアはずっと漆黒だと思っていたヴァルクトの瞳の奥が妖しい紫色に輝くのを見た。
壮絶なまでに美しく蠱惑的な眼差しに見つめられ、サフィアは背筋が甘く痺れるのを感じる。
「あなただけのものにして」
サフィアが震える指を伸ばすとヴァルクトはその指を捕らえ、薬指に歯を立てた。
「……あっ」
サフィアは鋭く走る快感にきつく目を閉じる。
「今度こそ僕のすべてを奪って……最後まで抱いて。体はもう何ともないから」
純粋すぎるほど綺麗なサフィアの瞳が熱っぽく潤んで揺れるのを見て、ヴァルクトは息を呑む。
一点の曇りもない真っさらなものを汚す、その背徳感にぞくりとさせられる。
先ほどは途中で他からのブレーキがかかったが、ここではもう何の障害も制約もない。
邪魔するものは何ひとつないのだ。
「サフィア」
ヴァルクトが名前を呼ぶと、サフィアは目を閉じてその身を預けた。
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