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どんなに激しく抱いてもサフィアはもう血を吐いたりしなかった。
目の下の隈も消え、蒼白かった顔は透き通るように白く艶めいている。
与えられる快感に身を捩り、恥じらいに頬を染めるサフィアは健康そのもので、求め続けたヴァルクトからの愛撫に全身で応えようとしていた。
「……あっ……あっ……ヴァルクト……」
ゆらゆらと絶え間なく身体を揺さぶられ、優しく激しく抱かれながら、サフィアは甘い喘ぎ声とともに何度もその名を繰り返す。
「……もっと……ヴァルクト……もっと」
切なげに眉を寄せ、唇を震わせるサフィアが愛しくてヴァルクトは胸が苦しくなる。
これまでに数々の相手と体を重ねても、こんな気持ちになったことは1度もなかった。
「……サフィア……サフィア……」
ヴァルクトが口づけし、名前を呼ぶたびに身悶え、甘やかな吐息を漏らしてサフィアの白い肌は薔薇色に染まっていく。
「……あ……あっ……んんッ……」
黒いベルベットのシーツに広がるサフィアの美しい銀髪と透き通るように白い肌にヴァルクトは見惚れた。
表情と反応を見ながら、できるだけ優しくサフィアの中に押し入っていく。
「……おまえは本当に……どこもかしこも熱い……」
「ヴァルクト……ああっ……ヴァルクト……」
サフィアは青い宝石の瞳を涙で濡らしながら白い指でヴァルクトの頬に触れた。
「またこれを溢すのかサフィア、辛いのか?」
心配そうに見つめてくるヴァルクトに、サフィアは小さく微笑んだ。
「違う……嬉しくて泣いてるんだよ」
「嬉しくて、泣くのか」
「あなたのものになれるのが嬉しくて……幸せで泣いてるんだよ」
ヴァルクトはわけもわからず苦しくなってサフィアの涙に唇を寄せた。
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