黒っぽい白と白っぽい黒

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ある夜の発作中、僕は苦しさのあまり目を覚まし、を視た。 漆黒の闇の中で、彼は震えるほど美しかった。 「俺のことが視えるのか?」 彼の、地を這うように低く、冷たく、なのにどこか甘やかな美声を聴いた時、背筋が痺れるような感覚に襲われた。 深淵を思わせる漆黒の瞳が驚きに見開かれていた。 「ただの人間に、視えるのか」 その切れ長の目に吸い込まれそうになりながら見惚れていると、大きな発作に襲われた。 僕は自分の胸元を掻きむしり、体を丸めて苦痛に耐えた。 「苦しいのか」 彼はしばらく珍しいものでも眺めるように僕を見ていた。 浅い呼吸のなか、僕は返事もできず、額に大量の脂汗を浮かべながらも彼を見つめ続けた。 「辛いのか」 彼はその長く形のいい指で僕の額に触れた。 驚くほど冷たい指が、病の高熱に苦しむ僕には逆に心地良かった。 彼は自分の指についた僕の汗をまじまじと見つめた。 そして次に、苦しさから滲み出た僕の涙にも触れた。 「熱い……これは何だ?」 僕は咄嗟にその指を掴んだ。 彼の目が驚愕に揺れる。 「俺に……触れることができる人間なんて……」 そこで更なる苦しさに襲われて、僕は血を吐いた。 彼はまた驚いて、僕の口元の血をその指で絡めとる。
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