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「サフィア、こんなに血を吐いて……」
「苦しいの?」
枕元に複数の声を聞いて、僕は目を開ける。
僕を心配そうに見つめるその目は、家守りの精霊だったり、ひとつ目の妖怪だったり色々。
「大丈夫。今は苦しくないから」
僕が笑うと、家守りの精霊は困ったような顔をして言った。
「さっきのアイツ、誰?死神なの?」
「死神⁈そしたらサフィア、連れていかれちゃうの⁈」
ひとつ目の妖怪は飛び上がりそうな勢いでそう言った。
「死神なら前に見たことあるけど、違う気がする」
僕がそう言うと、2匹は顔を見合わせる。
「じゃあ、アレは何?」
「悪魔じゃない?」
ーー悪魔……。
不思議とその単語がしっくりくる。
僕は以前、大人たちが言っていた言葉を思い出す。
ーー天使より悪魔の方が美しいんだよ。
だから人間はその虜になって悪の道に堕ちてしまうんだ……。
なるほど、と僕は思う。
さっき視た彼が悪魔なら、僕は喜んで彼の元に行くだろう。
彼がそう望んでくれるなら。
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