1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「今日は楽しかったよ」
「私も楽しかった」
日が傾いている。
「映画にカラオケにゲーセンにショッピング。全部楽しかったよ。」
「私もだよ」
笑って別れようとしてくれる。
その優しさが心に染みる。
「じゃあ、またね」
自分から別れの言葉を紡ぐなんて本当はしたくない。
でも、終わりは来てしまうものだから。
「また、遊ぼう」
その言葉が嬉しくて本当は抱きつきたいことを悟らせないために、笑顔を浮かべる。
「また、ね」
もっと一緒にいたかった、なんて、あなたには負担にしかならないから。
私は自分の中でこの気持ちを終わらせる。
誰にも気づかれないまま、一生、この思いを抱えて生きていく。
はずだった。
最初のコメントを投稿しよう!