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それから数日後経ったある日のこと。
prrr.... prrr.... prrr....
電話だ。
私は素早くとった。
『もしもし』
「もしもし、先生、ですか?」
『そうだよ。元気かな、と思って。』
「元気、ですよ」
『そうやって誤魔化す時は、傷ついてる時だよね』
「はい……」
『私は言ったよ。思いはちゃんと伝えた方がいいって。』
「でも、負担にしかならない、から…」
『負担とかじゃなくて、自分の心を大切にした結果だと、私は思うんだ』
「でも、でも……」
『君が傷つかないためというのも一理あるよ。でもね、そう簡単に長年の恋心はなくならないもんだよ。』
私が墓場まで持っていこうとした気持ちを一瞬で悟った先生。
先生は私の通っていた高校のカウンセラーで、今でも私を気にかけてくれる。
『一回フラれておいた方が気が楽なんだよ。君は強い人だから、耐えられると思ったんだ。』
「……先生、泣いてもいいですか?」
『いいよ。好きなだけ泣いて、好きなだけ話しなさい。』
今までのこと。
離れていても好きだったこと。
再会すると、もっと素敵になって、もっと好きになったこと。
一緒に遊びに行ったこと。
たくさん悩んで、思いを伝えずにいたこと。
それは、間違ってますか?
教えてよ、先生。
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