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「新郎新婦の入場です!」
純白のウェディングドレス姿の新婦と
純白のタキシード姿の新郎。
二人とも華やかだった。
挙式が終わると、披露宴はガーデンパーティーとなっていた。
立食形式で、並べられているスイーツも程よく甘く、二人の仲を表しているようだった。
その後、スピーチの出番が来た。
私は息を吸った。
「りくとさん、ゆうさん、ご結婚おめでとうございます。今日の日が来るのを心待ちしてました。かしこまるとうまく話せなくなってしまいそうなので、いつものようにゆうちゃんと呼ばせてください。」
私は笑えているだろうか。
泣いていても不自然ではないが、その涙は悲しみから出るものだ。
この結婚を心から祝えているわけではない証だ。
「新婦のゆうちゃんとは小学校の同級生で、幼い頃は公園でよく遊びましたね。今でも一緒に走り回った光景が浮かびます。」
あの時、彼女が私に話しかけてくれなければ、私は自殺を選んでいただろう。
それぐらい寂しくて辛くて逃げたい現実があった。
「ゆうちゃんはいつも笑顔でみんなを明るくしてくれました。どんなことにもひたむきにがんばっていて、私もその姿に鼓舞されていました。いろんな事情があるのに、いつも笑っているゆうちゃんを私は尊敬しています。そんなゆうちゃんなら、結婚しても明るい家庭が築けるはずです。」
そんな笑顔に何回救われただろう。
忘れない。
あの日々にたくさん救われたこと。
たくさん愛を感じれたこと。
「これからは優しいりくとさんと仲良く歩んでいってください。りくとさん、これからは私の大切な親友のゆうちゃんを末永くよろしくお願いします。おふたりの幸せを心からお祈りします。」
ねえ、泣いてもいい?
二人の幸せじゃなくて、自分のために泣いていい?
「ゆうちゃん、幸せにね」
ずっと好きだった。
これからも多分好きなままだ。
ゆうちゃん以上に好きになれる人なんて、この世にはいないんだよ。
優しくて、温かくて、綺麗な罪な人。
私の心を奪っていった罪な人。
これからも、想うことを許してください。
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