右京の実家

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「落ち着くまで側仕えは女性の方がいいでしょう」  杉田医師のアドバイスで、高良と雪乃は交代した。  高良の落ち込み具合はひどく、顔は土気色になっている。 「どうしてこんなことに……」  放心状態の高良を横目に、理人は小声で杉田医師に尋ねた。 「やっぱり菜々花ちゃんが鬼の子を孕んだってのは間違いないんですか?」 「命様と菜々花殿が同じ状態であるならば、恐らくエコーは使えないでしょうから詳しい検査はできないかもしれませんが、ひとまず落ち着いたら診察をしてみます、見てみないことには断言は致しかねます」 「ちょっくら本部に戻って、静御前の記録を探してくるわ。俺の式神を置いてくから、なんかあったらこいつを破れ」  山本は倭に人型の紙人形を手渡すと、険しい顔で大鏡をくぐっていった。 「あれだけの邪気を体に取り込んで、なんともないわけがないんだ」  倭はぽつりとつぶやいた。 「普通の人間だったら、とっくに鬼になってる。でも菜々花ちゃんに鬼化の兆候は見られなかった、つまり静御前の体質が発動してるってことだ」  そう分析する理人に右京は尋ねる。 「邪気を吸収しないってやつっすか?」 「ああ。その代わり、腹の子は濃縮された邪気を取り込むんだったよな」 「菜々花姉ちゃん、どうなっちゃうんっすか!?」 「分かんねぇことばっかでどこから手を付けたらいいのやら……」  うろたえる理人を倭は鼓舞する。 「諦めるな。糸口は必ずある。分からないことがあるってことはそれだけ可能性があるってことだ。一つずつ潰していけば、やるべきことが見つかるはずだ!」  力強い倭の言葉に理人はキュッと唇を引き絞った。 「右京、今から俺の言う事メモに残していって! 絶対に菜々花ちゃんを救うルートを見つけてみせる!」 「了解っす!!」
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