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「あー、今日は結婚記念日じゃないか、何も準備していないのか?やっぱりだめだな」
いつも通りの嫌味を言ってくる。でも私は気にしない。
「いいえ、今日は結婚記念日じゃないの、離婚記念日よ」
最高の記念日じゃないか。
「な、何言ってんだ!」
今にも殴りだしそうだ。
「あなた、離婚届にはんをしたでしょ?」
殴りに行く手が止まった。
「そ、そんな記憶は…」
「あのケーキの申込書よ」
私は全ての種明かしをした。
ふふふ、これで念願の…離婚と結婚よ。
「…わかったよ別れりゃいいんだろ、別れりゃ」
なぜか殴られなかった。殴られても今回は痛くない。嬉しい気持ちが痛みを消してくれる。
そして、あっさり離婚した。
「ふふふふふ…」
私は笑いが止まらなくなった。
「気味悪ぃな、お前みたいなダメ女が再婚できんのかよ」
できるだけ見下した目で言おうとしているようだが、意味はない。
「いいえ、あなたこそできません」
ふふふ、あなたは終わり、私は始まり、ね…。
「ふーん。浮気でもしてんだか、俺もしてたけどね」
「お好きに」
そして全ての手続きが終わり、家を出るときの
「後悔すんなよ…」
という笑いの混じった声が私の聞くアイツの最後の声だった。
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