凄腕エンジニアに憧れて

出会いと火消し

最初のオープンの時が嘘のように、すごい量のリクエストが処理されていく。

サービスも安定したままだ。火消し担当の対応の正確さが結果として現れる。
サービスが無事に再会できて嬉しいはずなのに、むなしさ半分、悔しさ半分の重たいため息が漏れる。

このサービスはAIを搭載した様々な動物をデジタルペットとして飼える仕組みだ。

購入の手前に、飼いたい動物と、簡単な質問に答えるとその人になるべく相性の良い性格を持ったAIが割り当てられ、ペットとして生成される。

今回の販売上限は100体。

一定の購入リクエストが受け付けられると、そこから抽選。当選者のみのデジタルペット購入が成立する。

購入はChain Linkageのウォレット保有者に限定されており、ボットの対策は最低限出来ている。

それでも開始5分、あっという間に購入リクエスト上限に到達し、抽選が開始された。

次々と生成されていく個性的なペットたち。なるべく長く愛用してもらえるように、頑張って調整した自慢のアルゴリズムから生成されたキャラクターたちが当選した人たちに旅立っていく。

飼い主とのコミュニケーションによって成長していくことのできるペットが、今後どのような姿を見せてくれるのかがとても楽しみだ。

「オーナー、無事にすべての抽選が完了し、初回販売はこれで問題なく終了しました。あとは火消し担当と最終確認して完了ですね。」

いまだ心に引っ掛かりを感じつつ、気持ちを切り替えようとオーナーに声を掛けた。