出会いと火消し

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出会いと火消し

「これは、、ちょっとまずいかもしれない。。」 監視ボットから外形監視エラーの通知が次々に届く。 まずい、というよりサービスはすでにダウンしてしまっている。 一刻も早く状況を把握しなければ。いや、まずはオーナーに報告か。 この数ヶ月間、AI搭載型デジタルペット開発のプロジェクトに心血を注いできた。キャラクターデザインからAIの性格づけまで、オーナーと共に細部にわたり調整を進めてきた。細部にもこだわった。遂に満足のいく成果を得て、コーディング用生成AIでECサイトを立ち上げ、本日ローンチとなった。 のだが、この有様。 自分の詰めの甘さを呪いつつ、 「オーナー、申し訳ありません。緊急事態です。サービスがダウンしてしまいました。アクセスの急増でサーバーがパンクしてしまったようです。復旧に全力を尽くします。」 画面越しのオーナーは深刻さにもかかわらずいつもの落ち着いたトーンで 「こちらでも状況確認しています。まずはお詫びの案内を出すので、復旧めどが見えたら教えてください。一緒に対策考えましょう。」 「承知しました。ありがとうございます。原因調査急ぎます。」 状況の深刻さにも関わらず、彼女は冷静に対応を進めてくれている。僕がこのプロジェクトに参加したのも、彼女のリーダーシップ力に憧れたからだった。 とりあえず、今は問題解決に努めよう。 とはいえ、AI関連のアルゴリズムには比較的自信があるものの、サービスのトラブルシューティングが未知の領域。 まずはメトリクスを見るべきか。アクセス数が高い割にはバックエンドサービスのリソース利用量はそれほど多くない。いや、むしろ低いくらいだ。 「あぁ、完全に専門外。」 時間だけが過ぎていく。 あきらめが滲んできたそのとき、オーナーから声がかかる。 「開発リーダー、ヘルプに入ってくれる人が現れました。協力を仰ぎましょう。」
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