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「ーえっ、お見合い…ですか」
ある朝、洗濯物を洗おうと外へ出ようとした私を、話があると言って旦那様が呼び止めた。
「…ああ。お相手はうちの取引先のさる筋の方でな。少々年はいってるが…まあ生活には困らんだろう。お前は今まで充分うちに尽くしてくれたし、私からのせめてもの恩返しだ」
「ですが、お嫁入りにはお金が…」
「―なあに、そんな事は心配するな。お前は祝言の日まで大船に乗ったつもりでいなさい」
「は、はい…」
そうしていると、勝手元から琴江奥様の金切り声が聞こえてきた。汚れたままの洗濯物を見つけたのだろう。
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