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「…短い間に度胸がついたな」
エレベーターを降り、案内された上階で誠は先ほど父親に葉菜子の名前を騙った鈴の行いを思い出してそう声をかけた。
「すみません。あれで良かったんでしょうか?」
「…ああ。あの様子だとしばらく親父の説教は続くだろう」
せいせいしたように誠は言うと、肩を竦めた。二人を乗せた鉄の箱は上階へとたどり着き、扉が開いた。
「わあ…!」
エレベーターを降りてすぐ東京の景色が広がっていた。鈴はガラス張りになっている景色を見て目を輝かせた。
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