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「綺麗な景色…」
「…鈴」
展望台からの景色を食い入るように見つめていた鈴に誠は声をかけた。
「…そのままじっとしてろ」
そう言うと誠は軍服の懐から何かを取り出すと、それを鈴の髪に挿してやった。
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「―う、鳥飼総監!これは、その…!」
「…どうやら私は貴殿という人物を買いかぶっていたようですな。まさか顔合わせの席に身代わりを寄越すような卑怯な真似をする輩だとは」
顔を真っ赤にして必死に取り繕おうとする一枝伯爵に、鳥飼大介は呆れたようにそう告げた。
「ち、違いますわ!総監、私は正真正銘一枝家の一人娘…」
尚も言い連ねようとする葉菜子を視線で黙らせた一枝伯爵は、鳥飼総監に詰め寄った。
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