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爺ちゃんが死んで直ぐの頃は、当たり前だが、悲しくて寂しくて、どうして良いのか分からなかった。
部屋にある“がじゅまる”に
「どこが多幸の樹やねん! 」
と当たったりもした。
部屋の真ん中で
「爺ちゃん!! 」
「爺ちゃん!! 何で、何で答えてくれへんの! 」
と何度か呼んでみたりもしたが、当然の様に返事はなかった。
「爺ちゃん、生きてるかあ? 」
と聞いてみても、爺ちゃんはもう死んでいるのだ。
今度こそは枯らすまいと一生懸命に“がじゅまる”について調べて分かった事なのだが、沖縄では“がじゅまる”にはキジムナーと言う精霊が宿るとされるらしい。
ここは沖縄ではないので、キジムナーはいないはずだから、ひょっとして爺ちゃんの霊が宿ったりはしないのだろうかと言う希望が薄っすらと湧いてきたりもしたが、それでもやっぱり、爺ちゃんの声も聞こえなければ、気配すら感じられないので、何かの折には思い出したように悲しくなってしまう。
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