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転生(多すぎない?)した私
のっけから、トイレの話で申し訳ないんだけど。
すっごい寒い朝だったのよ。
あー、温かい便座欲しいー。
あたたかいべんざって何??
8歳のわたしは、首を傾げた。
これが切っ掛けだった。
なんだか違う世界の情報は、ちょろりちょろりと時々出てきてくれちゃって。
ジユーミンシュシュギの国。三権分立。25歳までそこで生きた記憶。
大学出て普通の会社に勤めて。それほど優秀でもなく、仕事に頑張ってもいなくって。ヲタ友はいたけどカレシは居なくって。
その年齢以降はまだ思い出したことがない。思い出せないだけなのか、その頃死んじゃったのか。
現世と比べてちょっと混乱したこともあったよ?
ここは王国で。王制だもん。
父親のおかげで、衣食住は事足りてる。勉強に魔法にと家庭教師をつけられているけど。まぁ、私って優秀だから苦ではない。
端的に言うとここは。前世でよく読んだ、中世貴族ファンタジー世界のようだな。
ゲームやアニメが一番好きだったら、文明が発達してない・・・つまりはスマホが無い世界は!
ちょっと辛かったかもしれないけどさぁ。
私、活字おたくだったんだよね。
この世界にも本はあるから。ま、いっか?
ただ、ドレスはねー。最初はよかったんだよ。ふんわりした可愛い服で。
だけどさ。
13歳になった今ではさー。そろそろコルセットをつけて美しさを強調して!
なんて言い出されて涙目。
23歳で補正下着初体験。1時間で諦めた私には、辛すぎる。
どんだけ締めるの。まだこれから胸も大きくなる!(予定)なんだから。今は胸元が余ってるのはそのままでもいいじゃん!ドレスに合わせて体形整えるとか間違ってる!
ジャージほしいー。部屋着といえばジャージだろ!
百歩譲ってもスウェットだろ?
・・・そんな恰好はだめらしい。寝巻に男性用のパンツ(ズボン)所望しただけで侍女に真っ青になられちゃったよ。
食事も味付け濃いなーってどんどん思うようになっちゃった。
量も多いしさー。
何?晩餐て。こんないっぱい食べられないから!
一汁三菜、粗食に慣れてる記憶が辛い。
木造のおうちがいいー。ちっちゃくってせまーいの。
石レンガ造りってなんか暗い?
しかも広すぎるっ!私は方向音痴なんだよー。
・・・うっ。
なんだよぉ。察してよぉ。
ここまで、外見の話。一切しない時点で察してください!
周りはねー。美男美女しかいないよ、うん。
使用人だって可愛いメイドさんばっか。
容色で選んでないよねお父さん?って感じ。
髪色も目の色も。周りはみんな綺麗で明るいものばかり。
でもなー。大学でならこれくらいの髪色の人、たまにいたしなー。
その辺に違和感はあんまり無いかも。
それより髪染める魔法も薬もない事にがっかりしたよ。
私だって金か赤の髪色がよかったな。
茶色の髪に茶色の瞳なんだよね。私。うん。誰よりも地味。
顔も。髪色も。
他国からお嫁に来たおばあちゃんにそっくりらしくってさー。
家族の中で、私だけが地味。
まぁ、いいけどさ。家族は普通に可愛いと言ってくれるから。
兄ちゃんと、弟がいて。女の子は私だけだから。
可愛がってもらってる自信はある。
だからってわけでもあるけど。現世は嫌いじゃない。
この世界もこの国も好き。
この国は心地いい風がいつも吹いてる。
思い出してみると、あの島国は湿度が高すぎたからねぇ。
高温多湿はイライラ度と関係するんだぞ?
おかげでもともとのんびりの性格は、大変おおらか。に進化。
13歳の今では。
なにがあろうとにっこりと優しく微笑む”博愛の王女”と呼ばれております。
は?
あれ。父親の職業言い忘れてた?
はい、我が国の第57代国王です。
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