転生先は(それなりに大国の、ぼんやりした)第一王女

1/1
40人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ

転生先は(それなりに大国の、ぼんやりした)第一王女

我が国では、夜会に出席できる14歳から婚約し始めて、早くて16歳。 おそくとも20歳までには結婚するのが普通。 ・・・そうそれが、常識。 ちょっと考えてみてよ。 身分高く生まれた以上、家のために結婚して子どもを作り、後継者をそだてるものだ! そんな価値観の現世だよ。 25歳で結婚してなかった前世の自分が、どーんだけ羨ましかったか! 結婚するかしないかは個人の勝手ってのにまず凄い!と思った。 自分で結婚相手を探す、ってのにもびっくりしたけど。好きだって思う人と結婚できる、って思い出して。 ・・・口をぽかんと開けちゃった。 思い出したあの日は、マナーの先生が居た日で。 王女殿下はご病気のようです!ってベッドに入らされたっけ。 どんだけ呆けていたんだろうねぇ。 いいよねぇ。好きな人と結婚。愛人なんていらない、君だけだ。とか言われたいよ。 この国にも恋物語とかあるんだよ?子どもの読みもの扱いだけどさぁ。 結婚しないって選択肢があるのにも、悔しいくらいに羨ましいな。結婚してくれとすがる男性を押し退けて。勇者になって、魔王を倒しに行こうかな。 この国にも冒険物語とかあるんだよ?絵本扱いだけどさぁ。 現世ではあり得ない選択。 だから余計に羨ましい。 なんたって一国の王女だよ。政略結婚一択!だもんね。 ・・・それでも。 結婚するなら、相手と仲良くなりたいな。家族としてでもいいからさ。 せめて私は愛人とか作りたくないなーって感覚は。前世の影響なのかなー。 珍しく・・・私が考え込んでる理由はもうすぐ14歳になるからで。 14歳の誕生日には、夜会が開かれるんだよね。 一応誕生パーティーで、夜会デビューを果たすわけ。 そして・・・結婚相手を決められる。 もちろん、もっと早くから婚約予定者を選ぶこともあるんだけど。あくまでも予定者。わが国では、14歳以前の正式な婚約は法で認められていないんだ。     おそらく国内の貴族と結婚することになると思う。 私にとって、それだけが希望。かな。 第1王子(兄ちゃん)が先日結婚したからね。 隣国の王女殿下が嫁いできてくれた。おばあさまの国と反対側の国。 銀髪にエメラルドの瞳。お人形みたいに綺麗なの。 これこそ、王女殿下と呼ばれるべき人だね。 いつもニコニコしてるけど、しっかり芯のある女性。 兄ちゃんはすっかり尻に敷かれてる。 実物見たのは結婚式っていう王族らしい出会い方だったけど。 「なんと美しい・・・」って呟いた兄ちゃんを家族はみんな(生)あたたかい目で見てた。 兄ちゃんにとってはいい結婚だったみたいで良かったよ。 ま、とにかく。そのおかげで、他国との縁はもう不要みたい。 国内にいられるなら、家族ともそれなりに会えるだろうから、それで充分嬉しいよ。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!