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転生先は(それなりに大国の、ぼんやりした)第一王女
我が国では、夜会に出席できる14歳から婚約し始めて、早くて16歳。
おそくとも20歳までには結婚するのが普通。
・・・そうそれが、常識。
ちょっと考えてみてよ。
身分高く生まれた以上、家のために結婚して子どもを作り、後継者をそだてるものだ!
そんな価値観の現世だよ。
25歳で結婚してなかった前世の自分が、どーんだけ羨ましかったか!
結婚するかしないかは個人の勝手ってのにまず凄い!と思った。
自分で結婚相手を探す、ってのにもびっくりしたけど。好きだって思う人と結婚できる、って思い出して。
・・・口をぽかんと開けちゃった。
思い出したあの日は、マナーの先生が居た日で。
王女殿下はご病気のようです!ってベッドに入らされたっけ。
どんだけ呆けていたんだろうねぇ。
いいよねぇ。好きな人と結婚。愛人なんていらない、君だけだ。とか言われたいよ。
この国にも恋物語とかあるんだよ?子どもの読みもの扱いだけどさぁ。
結婚しないって選択肢があるのにも、悔しいくらいに羨ましいな。結婚してくれとすがる男性を押し退けて。勇者になって、魔王を倒しに行こうかな。
この国にも冒険物語とかあるんだよ?絵本扱いだけどさぁ。
現世ではあり得ない選択。
だから余計に羨ましい。
なんたって一国の王女だよ。政略結婚一択!だもんね。
・・・それでも。
結婚するなら、相手と仲良くなりたいな。家族としてでもいいからさ。
せめて私は愛人とか作りたくないなーって感覚は。前世の影響なのかなー。
珍しく・・・私が考え込んでる理由はもうすぐ14歳になるからで。
14歳の誕生日には、夜会が開かれるんだよね。
一応誕生パーティーで、夜会デビューを果たすわけ。
そして・・・結婚相手を決められる。
もちろん、もっと早くから婚約予定者を選ぶこともあるんだけど。あくまでも予定者。わが国では、14歳以前の正式な婚約は法で認められていないんだ。
おそらく国内の貴族と結婚することになると思う。
私にとって、それだけが希望。かな。
第1王子が先日結婚したからね。
隣国の王女殿下が嫁いできてくれた。おばあさまの国と反対側の国。
銀髪にエメラルドの瞳。お人形みたいに綺麗なの。
これこそ、王女殿下と呼ばれるべき人だね。
いつもニコニコしてるけど、しっかり芯のある女性。
兄ちゃんはすっかり尻に敷かれてる。
実物見たのは結婚式っていう王族らしい出会い方だったけど。
「なんと美しい・・・」って呟いた兄ちゃんを家族はみんな(生)あたたかい目で見てた。
兄ちゃんにとってはいい結婚だったみたいで良かったよ。
ま、とにかく。そのおかげで、他国との縁はもう不要みたい。
国内にいられるなら、家族ともそれなりに会えるだろうから、それで充分嬉しいよ。
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