(白薔薇の君って陳腐)あんただろ考えたのは

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(白薔薇の君って陳腐)あんただろ考えたのは

大きな扉が、ゆっくりと大きく開かれると。 もうそこにいるのはお父さんじゃなくって。 威厳があり、威圧を感じてしまう国王陛下。 ほかの家族も同じだけど、切り替え凄いなぁ。 私も頑張らなくっちゃ。 侍女のエスコートで、4人の後ろをついていく。 弟はまだ7歳だから夜会には出れない。 さっき、着替え終わった頃に部屋まで来てくれて「姉さま、すっごくキレイ」って言ってくれて。僕がエスコートしたかった、とまた言ってくれた。 舞台のように一段高くなった場所。 見下ろす会場の大広間には人、ひと。ヒト。 ひぃぃぃって叫びそう。心臓バクバクしてる。 ガーデンパーティーでなら、大人数も経験してるけど・・・。いや、ここまでの人数じゃなかった気がするなぁ。 さすが。 隣のお義姉様は余裕の態度。ほんと、これこそ王女殿下だよねぇ。今はもう、王子妃だけど。 私もせめて、平気な顔だけはしておかないと。がんばれ、私! 国王陛下(お父さん)の挨拶で夜会は始まりを告げる。通常ならこの後、国王夫妻のファーストダンスなんだけど。 はぁぁぁぁぁ!私の挨拶があるんだよ!この夜会の建前は私の誕生パーティーだからね! 第一王子殿下(兄ちゃん)から紹介される形で、私は一歩前へ出る。 型通りのデビュタントの挨拶に時候の言葉を織り交ぜて。この先はなお一層、国民のために頑張りますとか言っちゃって。 「本日はわたくしの14歳の誕生日をお祝いくださりありがとう」 と締めた。 一応兄ちゃんの添削は受けたし、柔らかく微笑んで。緊張してるとはばれなかったと思う。 それでも一瞬のしーん。には心臓止まるかと思ったよ。 すぐに割れんばかりの?拍手をいただいてほっとした。 はぁ。一番の緊張事は終わった。  ・ 国王夫妻のファーストダンスが済んで。 歓談の時間。 玉座にはもちろんお父さん。すぐ隣の椅子にお母さん。 お母さんの隣に私の椅子は用意され。向こう側、お父さんの隣に兄ちゃん夫婦。 身分の高い方から陛下への挨拶が始まった。 あーそゆことかぁ。ちょろりと納得。 ご子息のいない貴族家の方は。お父さんお母さん私に一気に話しかけ。王子夫妻へ挨拶に・・・と次の方へ場所を譲る。 だけど、ご子息のいる方は・・・。 私に話しかけ、子息だけを残して向こうへ行く。 残ったその子息と。 ひとこと、ふたこと。 偶には、一生懸命いろいろと話しかけてくれる方もいて。 見合いだ。 流れ作業だけれど見合いだ。 最初は頑張って受け答えに力を入れていたけれど・・・。 だんだん、どんどん面倒になってきてる。はぁぁ。 見合いってこんな面倒なのか!前世でやらなくて正解! しかも、入れ代わり立ち代わりなんだもん。 なんだか混乱してきた。 結構タイプの顔だった侯爵家嫡男がお茶会に誘ってくれたんだっけ? いや、お茶会は公爵家次男で、観劇が侯爵家? どうせ後から正式な手紙は来るだろうけど。 本気で誘ってるなーとか、社交辞令だなーとか。その時、感じたものは覚えておかないと。 正式に行きますって返事の手紙を送っちゃってさ。 ”いや、王女とか面倒だし要らないし”って相手だった時には。私も向こうも困る。 あー。せめてメモ書きたい。 今のところ、結構乗り気?らしいのは次男三男だよね。 当然だけど。 家の爵位は継げない立場だし。 私が降嫁となれば、王家預かりの公爵家か侯爵家の爵位継げるかもしれないし? ・・・あ。 やっと気づいた。 しばらくしても、私のそばから離れていかない人がいる。 どんなに楽しそうに話しかけられても、覚えておく必要は無かったんだな。 私のそばから離れない人だけが、婚約に前向きな人なのか! さっき、とってもにこやかだったまぁまぁイケメン侯爵家嫡男は、とっくに公爵令嬢に話しかけに行ってるもの。 こんな地味王女より、白薔薇の君と呼ばれる公爵令嬢のほうがいいよねぇ。 緩やかなウェーブのプラチナブロンド。美しいの瞳。 私と同じ茶系だけれど、地味なの瞳と呼ばれる私とは違うのだ。 若草色のドレスを着こなして、琥珀のブローチを付けている白薔薇の君。 女性から見ても可愛いなぁ、よく似合ってる。 私の髪と瞳は、おばあさま譲りで。 お義姉様とは反対側の隣国から嫁いでこられたおばあさまの生国には、この色の人がそれなりに居るのだと聞いた。 我が国は、赤とか青とか派手な髪色や、緑や黄色の明るい瞳の人が多いから。おばあさまには悪いけど、茶色はやっぱ地味な方で目立つよね。 前世の記憶があるおかげで、いじけたりはしないけど。 こんな風に同じくらいの年齢の令嬢がたくさん居ると。もっと綺麗に生まれたかったなーとか思っちゃうね。 あ。これはいじけてるのか。
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