(まぁまぁのイケメン気になる?)べ!別に!ほんのちょっと好みだっただけよ

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(まぁまぁのイケメン気になる?)べ!別に!ほんのちょっと好みだっただけよ

陛下への挨拶の列は、半分ほど捌けた。ここから少し、ゆっくりできそう。 列の順番を見る限り、しばらくはご令息が居ない家が並んでるから。 お見合いは休憩。 高位貴族家がぜーんぶ招待されたって言ってたっけ。 大広間を見回すと。 令息も多いけど、令嬢も多いね。 ・・・まぁまぁの侯爵家嫡男は、白薔薇の君と離れて。今度は才女と名高い伯爵家の次女へ話しかけてる。 今夜は、私以外にとっても出会いのチャンスってことみたいね。 これはもう、婚活イベントって呼んでいいんじゃないかな・・・。 みんな頑張れ。 ・・・自分で突っ込んどくか。お前もな。 令嬢みんな綺麗だなー。いろんな髪色が芸術的に纏め上げられてて羨ましい。 色とりどりのドレスに。流行の装飾品。 青い髪に黄色のドレスは攻めてるなー。 なんだろ?うーん。なんていうか違和感が・・・。 あ。わかった。 白いドレスだ! 白っぽいドレスですら、着てる人が居なくない? ・・・ん-。居ないね。 我が国では。14歳を過ぎれば夜会へ出席できる。 王族が居さえすれば、どの夜会ででもデビューが認められるんだよね。 白や、白っぽい衣装の人が誰も居ないってことは。この夜会をその日に選んでくれた人は、ひとりも居なかったってこと。 地味王女と同じ日の夜会デビューは縁起が悪い?みんな嫌がったのかな。 ・・・なんだか少し寂しくなってしまうね。 「王女殿下。どうかなさいましたか?」 私のそばには、いま5人が居残ってくれてるんだけど。 一番話しかけてくれるのは、侯爵家のヒペリカム様。 侯爵家長男なんだけど、嫡男じゃない。 まだ幼い弟の魔力がとびぬけて強くって。ヒペリカム様は爵位を継がないだろうと噂されている。 腰まである長いプラチナブロンドは、筒状の金の髪留めでひとつに結んであって。千草色の瞳は光の加減で青く見えたり緑に見えたり。とっても綺麗。 ふっくらとした頬のせいなのかしら、中性的な感じで。話しやすい。 よく気付いたねー。表情に出してはいなかったと思うんだけど・・・ちょっと首を傾げちゃってた?前世の癖なのか、治らないんだよねぇ。 ヒペリカム様のほうを見ると、すごく優しい瞳で私を見てくれてる。 「本日を・・・夜会デビューになさった方はいらっしゃらないのかしら」 声に残念さが出てしまったかも。王族の覚えが目出たいからという理由でさえも、今夜を選んだ人は居ないのかなぁ。 「違いますよ」 と、横から声をかけたのは、伯爵家の次男。口数も少なく表情も乏しいから、仕方なくここにいるのだと思ってたけど。 「殿下のお考えとは違います。皆、本当なら今夜を選びたかったはずです」 すぐに私の気持ちを汲んでくれてびっくり。 「王女殿下のお考えを否定するなど・・・」 一番近くに居る公爵家三男がほんの少しとげのある目で伯爵家次男を見て、言いかける。 その意見は、現世の感覚では正しいんだけど。 でも。 私は嬉しかったから。公爵家三男の言葉をさえぎってみた。 「本当に?そうなんだったら嬉しいんだけど」って伯爵家次男を見上げる。 5人は、みんな立っていて。私は椅子に掛けたまま。 でも、ステップの付いたこのどっしりした椅子は座面が高いから。 それほど視線を上げなくても他の人とは話せるのに。 彼は見上げちゃう。 武門の家柄で。背が高くってがっしりしてて。オレンジ色の髪は短く刈り込んである。瞳もオレンジ色だ。名前はイベリス。 まっすぐ見るとイベリス様は、なんだか少し顔を赤くしていた。 「開催までは、口止めされていましたが」 「前日まで。と書面に記載がありましたから大丈夫かと」 「王女殿下が悲しい思いをなさるのは本意ではないはずです」 「咎められた時には、責任は私が」 「いえ、そこは全員でとりましょう」 なんだか口々に、5人は頷きあっている。 ? ・・・結局、彼らはとんでもないことを教えてくれた! 先週、夜会があったんだって! デビュタントのためだけの臨時の夜会! 第一王子が主催したその夜会では、忙しい国王陛下も短い時間だけど。ご臨席くださって、デビュタントにお言葉をもらえて。 王子妃殿下からは、可愛いお菓子のお土産まで出たのだという。 開催理由は、私と同じ日のデビューは認めないから。代わりに。というもの。 日にちを聞くと、その日。私は王妃様に捕まっていた。 なんだかよくわかんない理由で一緒に寝ましょうねーって部屋に押しかけられていた。 家族みんながグルか!! 「今夜、白いドレスを着ているのは王女殿下だけです」 そのためにやったのか!
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