(お茶会には厳選された人が招待されていた)え?そうだったの?!

1/1

42人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ

(お茶会には厳選された人が招待されていた)え?そうだったの?!

私のお茶会は男女比が偏っていて。 来てくださる令息はふたりだけだった。侯爵家のひとつ年下のいとこと、ローダンセ様。 ぽーちゅより少し赤味の強い・・・ローズブロンドに。ぽーちゅと同じ紫苑色の瞳。ぽーちゅと正反対に人見知りで。 そういえば仲良くなるまであまりお話ししてくれなかったな。 ローダンセ様は読書家で。私よりずっと多くの本を読んでいた。 そのお話を聞くのが大好きだったのに。兄ちゃんたら。 大人とみなされた令息はお前のお茶会に招待してはいけない。と言い出したんだよねぇ。 もう直接お会い出来なくなって1年経つ。寂しかったな。 時候の挨拶のお手紙を送ってくださって。新しく出版される本の情報を教えてくださって。ふたりめの兄さまみたいに思ってる。 「え?あの冒険物語が?」 お聞きした本は。 前世で言うならおとぎ話?貴族にも庶民にも広く伝わる冒険物語。 子どもへの啓発話というあのお話を、大人向けに改良したものが出版されたのだそう。 「ええ、大人も楽しめるような物語となっていますよ。特に姫様と3人の騎士の恋の行方に胸がざわめくのです」 すがる姫様を置いて、騎士たちは魔王を倒す旅に出て。いろいろあって、魔王に魅入られた姫様を守るために彼らは戻ってくる。 好きなお話だったんだ。騎士になりたかった! 実は。 その絵本と同じ単語の「姫様」って最初に呼んでくれたのは、ローダンセ様で。 呼びやすかったのか。今では友人や侍女たちが、私をそう呼んでくれてる。 「素敵ね。読みたいわ」 「明日にでも、お届けしましょうか」 ローダンセ様は変わらず優しい。もう、読んでしまわれたのなら是非貸してほしい、と言うと。ぽーちゅがにっこり。 「あら丁度よかったわ。明日はお茶会だもの。 今日のことを姫様とお話ししたくて、みんなで明日の開催をお願いしたの。 兄さまを連れてきてもいいですか?姫様。 もう、お茶会の人選に。王子殿下のお許しはいらないんでしょう?」 にまっと笑うぽーちゅ。含み笑い? ・・・そっか。もう自分で判断させてもらえるんだ。今夜から、大人扱いなんだもん。 「気づいてなかったわ。 次回からは、ローダンセ様にもお茶会の招待状を送ってもよろしくて?」 また、いろんな本の話を聞きたい。 ローダンセ様は珍しく。にまっと。ぽーちゅと同じ笑い方をした。 「楽しみにしています。もちろん、明日お会い出来ることも」 にこにこしたローダンセ様の目は私の上のほうをくるっと見ていたんだけど。 ? 最後には、私にもう一度「では明日」と言ってぽーちゅと一緒に去って行かれた。 もっと話したかったけど。次の令息が、挨拶を待たれていたから仕方ないね。 また。お見合いは再開となって。いろんな方と、順に話をする。 さっきの5人はまだ。私の近くに居る。 向こうへ行って、他の令嬢と話したりしなくていいのかしら? 5人で静かに雑談をしてて。 これは、王家に対する”王女を大切にしますよ”アピール、なのかな。 他の女性に見向きもしませんよ、的な? 今夜だけのこととはいえ、申し訳ないね。 最後の令息とふたこと、みこと。 後半は、なんだか焦ったように去って行く令息が多かったな。 地味王女へのご機嫌伺なんかさっさと終わらせて。 会場に行って好みの令嬢を探したかったんでしょうねぇ。 はぁ。ともかく。やっと終わったよ! 全ての貴族家の挨拶が終わると。 お父さんは公爵閣下と。お母さんは侯爵夫妻と。それぞれ話し始めてる。 兄ちゃんはお義姉様とダンスに向かった。 5人は。すっと私の椅子を囲む。 順に楽しい話を聞かせてくれる。 みんな、本当に話し上手。イベリス様以外。 女性の扱いが上手そうだよね。ちょいちょい好かれてるのかな?って勘違いしそうな言葉を混ぜてこられる。イベリス様以外。ふふ。 前世もあわせて40年弱。こんなにちやほやされたことは無いな。 「・・・コリウス様、どうかなさった?」 しばらく、口をつぐんで。イベリス様みたいに無口になってしまわれたから。 つい気になって聞いてみる。 「王女殿下の・・・お茶会は。明日以降の、次回の。開催はいつ頃なのでしょうか」 コリウス様は戸惑うように聞いてこられた。 いつ頃? ええと。夜会での出来事をお互い話しましょうね、とひと月後の予定だったお茶会を明日に変更してるから。次、となると・・・。 うーん・・・でも。 明日のは臨時ってことにして、ひと月後も開催しよっかな。 これからは、成人王族としてのお仕事も増えて忙しくなるけど。 だからこそ、ご友人との時間は減らしたくないもん。 「ひと月後・・・くらいかな」 そう口にする。まだ決定は出来ないし。 しん。 いきなり5人の表情が消えるから。心の中でだけ、びくっとする。 王宮のお茶会にはお金もかかるし、これドン引きされた?ちょくちょく開催しすぎ!国民の税金の無駄遣い!とか思われた? い、一応言い訳すると、個人資産から費用は出てるからね! 今までは兄ちゃんの個人資産からだったけど。これからは、諸経費は自分で出すからね。人件費は?って聞かれると・・・微妙な部分もあるけどさぁ。 「どうか・・なさって?」 貼り付けたのは王女の笑み。秘技!でもないけど博愛の王女微笑み! 頼むからせめてこの場では文句言わないでっ!
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加