夫婦地獄

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このあいだ十一月二十二日は「いい夫婦の日」だったとかで、SNSとかテレビではいろいろやってましたですね。  夫婦かあ……結婚どころか五十歳高齢童貞の私からしますと月どころかアンドロメダ星雲くらいの遠さを感じますですね。  なんでも、最近は社会で少子高齢化が進んで、経済が停滞しているとのことで、それなら少子化を改善しようと担当省庁までできて大変なんですよね。  順番からいいますと大概結婚してから出産ということで、まずはパートナー探しってんで婚活とかを政府や自治体が支援しておると。  でも最近の若者は「恋愛離れ」「結婚離れ」が進んでいてなかなかうまくいかないそうじゃないですか。  やあぁーっと時代が私に追いついてきましたよ!  だいたい夫婦でも三組に一組が離婚する時代に、経済的リスクまでおかしてまで結婚する方がおかしかったわけですよ。  誰でも好きな人と結婚できるとしたら?  ……かわいい声優さんと結婚したいです!  そりゃあ、ホンネをいえばですよ、私だって結婚したいですよ。  でも現実を見てください。  チビ・ハゲ・デブ(体重一0四キロ)、ブサイク、ニート、子ども部屋おじさんと非モテ要素のロイヤルストレートフラッシュであるこの私と!誰が夫婦になんてなりたいと思いますか。  性格ですか?はい、それはもう自慢ではありませんが最低で、器の小ささには後れを取ることはありませんですよー。  気に入らないことがあれば、年老いた両親やSNSに不満をぶちまけますし、掃除洗濯家事は一切やりません(キッパリ)。  あー、このゴミとかで立錐の余地もない汚部屋を「あらあら、あなたこんなにちらかしちゃってー」なんて片付けてくれる奥さんがどこかにいませんかね……。  自分が女で、こんな男と夫婦になりたいか、ですか?  うわああぁぁーっ!  ……なんかコンマ何秒かで、脳がとんでもないゲシュタルト崩壊みたいな状態になってしまいましたですよ。  現実は逃避、逃避っと♪  ……よし、忘れた!  しかし、うちの両親とかよく結婚できましたですね。はい、二人ともすんげぇブサイクです。  一昔前でしたら「結婚してなきゃ世間体が悪い」「大人として一人前じゃない」とかで、近所や職場の「世話焼きおばさん」みたいな人が、結婚できない余り者同志でもムリヤリ結婚させてたってシステムだったそうじゃないですか。  今やそんなことしたら大変なセクハラ・パワハラ等に抵触してしまうので、その魅惑のシステムが崩壊したって聞きますよ。  どんなブサイクでも夫婦になれてた昔がうらやましいぃーっ!  ついでに職場の先輩とかが、「オマエ童貞なんか?よし、入社祝いに筆下ろしにつれてってやるよ!」みたいなボーナスイベントも味わってみたかったあぁーっ!  まあ、中卒でニート歴三十五年の私にはどっちのイベントにも縁はなかったわけですが……ううっ……直木三十五。  現実は逃避、逃避っと♪  ……よし、忘れた!  やっぱりですね、動物の世界でも強くて魅力的なオスしかメスと夫婦になれなかったりするじゃないですか。  人間でも同じで遺伝子レベルで劣弱な私みたいなオスは、遺伝子を残すことを許されないんでしょうね。  そうなると、逃げ場は二次元ですよ!  数少ないオタク友だちでも、とんでもねぇデカい液晶テレビに成人向けゲームの美少女キャラクターを映し出して、  「俺たち、夫婦になりました!」  って宣言してる男もいますからね。  何でも、三次元の嫁と違って、経費がかからず劣化もしない……と。  いや、ただの絵じゃん!  私はね、夫婦の絆とかあたたかさ、子どもを二人で育ててともに喜ぶ、っていうライフイベントを経験したいんですよ!  もうオタク側からも一般人側からも殺意の目を向けられていることは、承知しておりますですよ。  はっ!もしかして、これが私の忌み嫌う現実っ?三次元と二次元に逃げ場を失った私はいったいどうすれば……。  うわああぁぁーっ!  現実は逃避、逃避っと♪  ……よし忘れた!  ところでですね、夫婦といえば(以下略)
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