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スーパーへと買い物へ行った時のこと。子供のおやつを買いにお菓子売り場へと歩いていたら、久しぶりと声をかけられた。
「あら、大きくなって」
「ほら、挨拶しなさい」
子供に挨拶をさせている間に、私は思い出そうとしている。
「それじゃあね」
挨拶なんてすぐ終わり、子供はお菓子の棚へと歩いていく。
会釈をしても、久しぶりと話しかけてきた人を思い出せない。
「ねぇ、じいちゃん誰だったの?」
あの人かもしれない
いや、この人かもしれない
追いかけて、どなたでしたかと聞くのはやはり相手に悪い。
「あの人が久しぶりと声をかけたのだから、知り合いなんだろう」
歯切れの悪い返事だと苦笑いを浮かべる。孫のユウキが、首を左右に振りながら呆れ声で言う。
「あれこれ言ってたら本当に忘れちゃうよ。久しぶりってもう一度声かけて、素直に言いなよ」
十歳の孫の方がしっかりしている。私は孫にお礼をいい、あの人のあとを追いかけていく。
その後、孫に多めにお菓子を買ってやることになったのは言うまでもない。
あの人、この人さんは林さんだった。
おわり
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