再会

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再会

 タクシー運転手が号泣する私を支えながら乗車させる。  後から思えば申し訳ない事をした。  私を待つことにより彼の時間が浪費されていくのだ。  だけどその時の私は、初めてあの人の軌跡に触れられた喜びと、またすれ違ったのではないかという恐怖とで酷く取り乱していた。  家に到着する頃には落ち着き、また明日も朝からの送迎をお願いしたが運転手は嫌な顔をしていた。  とてもじゃない、今夜は眠れそうに無い。  早く、朝になれ。  私は一晩中、家の中の掃除をして気を紛らわしていた。  職場で培った技術を駆使して磨き上げたので、このまま家を政府に引き渡せるほどキレイになってしまった。  朝、私は玄関で待機しタクシーの到着と同時に乗り込んだ。  タクシーの運転を急かしたところで早く到着するわけではないので、逸る気持ちを抑えながら到着はまだかと車窓を眺めていた。  タクシーが丘のふもとに近づき、私は約束の丘の方向に目をやった。  ―――誰かが立って海を眺めている。  男性だ。まさか、あの人!?  私はタクシーから転がり落ちるように慌てて降り、一目散に丘を駆け出した。
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