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『では、充実した7年間を過ごして下さい。また来年、と言いたいところですが、私の身体はもう限界の様です。コールドスリープはせず、このまま余生を過ごします。願わくは、この忌まわしき「セミ病」を克服した新時代の到来を目の当たりにしたいものです』
セミ病蔓延以前の最後の生き証人としてコールドスリープを繰り返してきたゴル博士。まさか200年もの間、セミ病を克服できないとは思わなかったのだろう。
続いて研究の進捗状況が他の研究員によって発表される。
研究員も自分が携わっている間の7年間で成果を残そうと必死なのが伺える。
……そんな時代は来るのだろうか。
私の名前を「結良」と名付け、申請した。
逢いたい「あの人」と別れた時の名前が「結子」だったので、ずっと「結」の字を使っている。
……今度こそ、あの人と結ばれますようにとの願いも込めて。
ちなみに前の名前は「結月」だ。
生まれて3日経つと皆、職業適性検査を受けて就職先を決め管理施設を出る。
前回住んでいた家も財産も既に政府に返上したので、職場に近い新たに与えられた家へ向かう。
前の夫は『結月』が最初に産んだ男児として私より先に蘇っており、今の名前と住所を管理施設から教えてもらった。
身内に限ってなら教えてもらえるが、3親等以上、および他人の情報は守秘義務として個人情報を教えてはくれない。
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