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勝のように、以前の記憶や想いが薄れ、消えていくのは当たり前。
だけど私のあの人への想いは、消えることなく受け継いでいる。
逢いたい、逢いたい。
100年も経っているのだから、繰り返す蘇りで外見は変わってしまっているのだろう。
だけどきっと私にはわかるはず。
あの約束の丘で。
きっと今年こそ待っていてくれるはず。
仕事は4日間休んだ。
私は毎回約束の日の前日からあの丘で待機している。
日付のズレがあって、すれ違いがあっては嫌だから。
そしてあとの2日は、会えればしばらく離れ難くなるだろうから。
会えなければしばらく立ち直れないだろうから。
明日に備えて早く就寝した。
期待と不安で緊張しながら眠ったせいか、嫌な夢を見た。
あの人と会えた。
あの人も私との約束の記憶を繋いでくれていた。
だけど、違う。
あれほど逢いたいと思っていたのに、心が惹きつけられない。
私は……一体何のために生きてきたの!?
ひどい寝汗をかきながら目覚めた時は、まだ夜が明ける前だった。
そうだ。例えあの人が『結子』を覚えてくれていたとしても、お互いを愛せるかはわからないのだ。
それでも逢いたい。
この気持ちに終止符が打てるならそれでいい。
私は、私の7年間の人生を歩むだけだ。
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