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ある日、ポチ公を散歩させていたら、公園のところで美枝子に出会った。
「あ、ワンちゃん飼ってるのね」
「うん、捨てられてたの拾ってきたんだ」
「いいなあ、私んち、アパートだから犬が飼えないんだ」
美枝子が撫でてやろうとしたが、ポチ公はフイと横を向いてしまった。
「名前は何て言うの?」
「ポチ。ポチ公って呼んでいるけどね」
「ずいぶんベタな名前つけたんだねぇ」
「えー、犬らしくて可愛いだろ。田口ポチだぜ。犬らしくてカッコイイじゃん」
「この子には似合ってるよ」
公園のベンチに並んで座ったら、ポチ公がボクと美枝子の間に身体を割り込ませてきた。
美枝子のスカートを引っ張って、
「ウー!」と吠えた。
「あっ!こら!」
「あはは、この子ヤキモチ焼いてる」
「え?ヤキモチ?ポチ公が???」
「そうよ。犬ってヤキモチ妬くのよ。
大好きなご主人を独占したいのよね」
「へえー!」
「ポチ君に怒られるから私、帰るわね」
えーーーー!せっかく美枝子と仲良くなれそうだったのに!
「お前のせいだぞ!」
ポチ公の頭をひっぱたいて、リードを乱暴に引っ張ったらベンチの金具に引っ掛かってしまった。
えーい!力一杯引っ張った。
こういうときって、何もかもいちいち腹が立つ。
帰宅後もプリプリ。晩飯をやるときにも
「せっかく美枝子と仲良くなれそうだったのに!お前のせいで台無しだ!」
「キュイン・・・」
ポチ公はご飯も食べずに小屋の奥で丸まってしまった。
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