忠犬ポチ公

11/17
前へ
/17ページ
次へ
しばらく行くと、遠くに茶色い犬を散歩させている人がいた。 ん?ポチ公によく似ているぞ! 足を速めて、近づいてみる。 うん、似ているけど・・・やっぱり違うかな? でもすごく似ている。 ボクは携帯電話を取りだして、電話に向かって話しかけた。どこにも繋いではいないのだけど。 「もしもし、ボクだけどさ、そこにポチ公いる?」 「ポチ公」ってところは、やや大きな声で言った。 もしあのワン公がポチ公なら、自分の名前に反応するはずだ。 「ねえ、ポチ公、いる?ポチ公、いないの?」 ワン公は知らん顔だ。 やっぱり違ったか。でもよく似ているなあ。 「おーい、ポチ公!」もう一度呼んでみた。 ワン公は知らん顔だが、飼い主の方が振り返ってボクの方を見た。 不審者だと思われたかしら。 さすがに恥ずかしくなって、携帯電話をポケットにしまった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加